認知症の人はテレビをどのように見ているのでしょうか。どの程度理解できているのか、楽しんで見ているのか、なども気になりますよね。
認知症である義母は、元気なころとテレビの見方が変わってきました。番組を自分で選ぶこともチャンネル操作もできなくなりました。また、集中してテレビを見ることも難しくなりました。
好きなテレビを見ると、高齢者の脳が活性化されるということがありますが、認知症の人がテレビを見る場合は、家族が管理してあげが方がいいでしょう。
どんなことに気をつけたらいいか、お伝えしようと思います。
認知症の人がテレビを見るとはどういうことなのでしょうか。
認知症の人のテレビとのつきあい方とは?
見たい番組、好きな番組は本当に人それぞれですよね。
私の義母は、今は、1日にトータルで2~3時間くらい、テレビを見ています。一緒に住んでいる義兄が報道番組が好きで、その日によっていろんなチャンネルの報道番組が流れています。義母は、そのうちのほとんどは、ボーッとしたり、途中で寝たりしていて、見てはいないと思われます。
義母は、デイサービスに行かない日は寝ている時間が長くなるので、テレビを見せて起きていてもらおうと思っています。でも、あまり効果はないようです。
眠くなると自分でテレビを消します(リモコンでテレビをつけたり消したりすることはできます)。それどころか、テレビがついていてもかまわずに、布団に入って寝てしまいます。
義母は時代劇な好きなので、毎日午前9時前に、義兄がBSの時代劇にチャンネルを合わせてくれます。最近では、1時間ずっと集中して見ることは難しくなってきました。内容も理解できないところが多くなってきたようです。
時代劇が終わってから何分もしないうちに、見たこと自体を忘れていることもあります。でも、その時に楽しんで見ていたのなら、それでよいのだと思います。
私は、以前は「今見たばかりなのに、なぜ忘れちゃったの?」なんて言っていましたが、もう言いません。認知症の人にそんなことを言っても、どうしようもないのです。
義母がもう少ししっかりしていたころのテレビの見方については、こちらに書いています。
認知症の人がテレビの内容に興味を持てるようにする
認知症の人は、何も考えずに、ただテレビの画面を見ているだけということもあります。そういう時は、声をかけて、テレビの内容に興味を持ってもらうようにしたらどうでしょうか。
たとえば、料理番組だったら、「この野菜、どんなふうに料理するのかな」「この魚、知ってる?」「盛り付けがきれいだね」など。
義母は、番組の中で昔のことが話題になっていると、その当時のことをよく覚えていて、懐かしそうに話し出すことがあります。そんな時は、いろいろ話してもらうこともあります。
その場合、介護するこちら側も番組を楽しむつもりでいないと、負担が多いですよね。できる範囲で、こちらが疲れない程度につきあうというということでいかがでしょうか。
暗いニュースはあまり見せない方がいい
義母は時々、夜中に起きて、困った行動をします。その一つが、「どこかに避難する準備をする」というものです。
おむつやタオル、時計などを風呂敷に包むのです。
そういう時はたいてい、前日に、地震や台風など、避難が必要な災害のニュースを見ています。それが頭に残っていて、あるいは夢にそのことが出てきて、「なんとかしなきゃ」と思って行動に移すのです。
認知症の義母にとって、災害が起こっているのが遠くの地方なのか、あるいは自分の住んでいる場所なのか、判断できなくなるようです。「この場所は大雨の被害はないから、大丈夫だよ」と言っても、ダメなんです。テレビの映像は強烈なのだと思います。
認知症の人には、望ましくない映像やニュースを見せるのには注意が必要である。
これは、私が義母の体験から学んだことです。
子供向け番組がけっこうおすすめ
もう2年くらいになるでしょうか。いい番組がなかなかなくて、しかたがないのでEテレの「おかあさんといっしょ」をつけておいたら、義母が楽しそうに見ていました。
それから、時々この番組を見るようになりました。「いないいないばあっ!」に出てくる犬はかわいいから好きだと言います。
「おかあさんといっしょ」は幼児向けの番組なので、難しい言葉が出てくることはなく、歌も劇も短くてわかりやすいのです。オリジナルの歌ばかりでなく、義母のよく知っている唱歌も出てくるので、一緒に歌うこともあります。
子供向け番組には、暗い話題はありません。それも大きな魅力です。
義母と一緒に見ているうちに、私も「おかあさんといっしょ」が好きになり、朝、家事をする時に流しておくことがあります。子どもたちが小さいころ、よく見ていた番組なので、なつかしい歌もけっこう出てきます。
じっと見入ってしまうことがないようにしないと、家事がなかなか進みませんが(笑)。
トーク番組も面白く見るかもしれない(義母の場合)
「この番組は相手が面白がるだろう」と思ってもそうでないこともあり、その逆もあります。いろんな番組を見てみて、本人が興味を持ったものを見てもらうしかありませんね。当たり前のことですが。
昨日のことです。いつものように訪ねていくと、義母はテレビを見ていました。ベッドに座って、いつになく真剣に身を乗り出して見ているのです。
見ていたのは、日本テレビの「波乱爆笑」というトーク番組です。毎回ゲストが自分の人生を振り返っていくというもので、昨日のゲストは小林稔侍さんでした。まだ役者として売れないころ家族に苦労をさせたというような話をしていました。
いつもなら一緒にトイレに行き、そのあと家の中を歩いたり体操をしたりするのですが、あまりにもテレビに集中しているので、私はお昼のしたくを始めました。途中で義母の様子を見ると、今度は笑っていました。
最近ではこのようなことは、珍しいのです。「この人、誰だかわかる?」と聞くと、「誰だっけ」。「知っている人?」と聞くと、「知っている人だと思う」という答え。
まだ番組を見続けていたので、今日はあまり話しかけないようにしようと思い、しばらくそのままにしていました。
登場している人に興味があり、話している内容もだいたい理解できれば、面白いと感じるのですね。
まとめ
認知症の人は、自分で見たい番組を選んで見ることが難しいのですが、思わぬ番組に興味を示すことがあります。
ついボーッとテレビの画面だけを見ているということもあるので、番組の内容について家族と会話をしながら見ると、テレビに集中できるかもしれません。
注意したいのは、報道番組です。暗いニュースをずっと見ていると、それに反応してしまうことがあるので、注意が必要です。