高齢者を歩けるように手助けするのは、簡単ではありません。特に介護が必要な高齢者は、だんだん自分で動くのが困難になる傾向にあります。
年齢とともに気力が衰えてくると、進んで運動しようとか散歩に出かけようという気持ちはなくなっていきます。「歩けなくならないように、毎日頑張って歩こう」なんて、よほど意識の高い高齢者でなければ、考えないと思います。
私たちは、要介護者のもろもろの世話で手一杯で、とても散歩につきあうなどということはできないと思いがちです。
でも、最も避けたいのは、要介護者が歩けなくなったり寝たきりになったりすることですよね。
今できることは、多少面倒でもやっておくのが、後悔しないためには必要なことだと思います。
義母が今まで歩くことができているのは奇跡かもしれない
ちょっと買い物に出かけるにも車を使っていた義母。近くの郵便局までは歩いて5分なのに、自転車に乗っていた義母。
とにかく、歩こうという発想がない人でした。散歩を進んでやったことなんて一度もなかったと思います。
そんな義母を散歩に誘い出し、買い物に連れ出し、時には一緒においしいものを食べに行こうといってバスに乗せ・・・。
今思えば、必死でした。
それは、短期間のうちに歩けなくなった義父のようにはなってほしくないという危機感からでした。
義母にとって、歩くのは大変なことでした。腰だけでなく、シルバーカーを押す腕も痛くなり、途中で何度も休みました。
義母が一人で散歩したり病院に行ったりする期間もありましたが、ほとんどは私が一緒に外に出ています。
この人はこのままでは歩けなくなるかもしれないと思った15年前からすれば、たとえゆっくりでも、短い距離でも歩けている今は、奇跡だと思えるのです。
少しずつでも歩くことを続けてきたことに意味があるのではないかと思っています。
義母は手術後のリハビリと散歩のおかげで歩くことができている!
義母は現在88歳。週に3日、デイサービスに行っています。それ以外の日は、ほとんどベッドに座ったり寝たりして、1日を過ごします。
家の中の手すりにつかまってトイレに行ったり、食事やお茶の時間にテーブルの所に移動したりするのがスムーズにできること、天気のよい日に外に出ることなど、今の状態がこれからもずっと続けられたらいいなと思います。
義母はかつて、脊柱管狭窄症の手術と、膝に人工関節を入れる手術を受けました。脊柱管狭窄症の方は70代後半、人工関節の方は80代前半での手術であり、ともに高齢になってから受けています。
脊柱管狭窄症は、手術を受けても腰はまっすぐになりませんでした。しかし、常に痛みがあるという状態は脱することができました。病院でのリハビリは、腰だけでなく、体全体を整えることを考えるプログラムを組んでもらいました。
リハビリはある一定の期間が来ると終了しますが、よい理学療法士との出会いで、いろんなことを学ぶことができました。
その後、家でも何かリハビリのようなものをやりましたが、長くは続きませんでした。最も簡単で、続けることができているのが、散歩です。
かつてのシルバーカーは途中から歩行器に変わり、少し前から車椅子もレンタルしています。歩き方はますますゆっくりになり、膝の痛みを訴えることも増えました。
ずっとこのまま自力で歩くことができるかわかりませんが、可能な限り義母と一緒に歩き続けようと思っています。
高齢者が歩けるように援助しよう!手術後のリハビリをおろそかにしてはいけない!
あなたが介護している人の歩行に不安がある、でも特になにもしていないなら、その人の現在の状態を、まずしっかりととらえることから始められてはいかがでしょうか。
腰が痛い、膝が痛いなど、体のどこかに痛みがあるために歩行困難になっていたり、足のむくみがあるために歩きにくくなっていることもあります。病院を受診されて、治療や手術が必要だと診断される場合もあるでしょう。
骨折して入院してから歩けなくなってしまった人も多いですね。その場合は、リハビリの病院や施設を利用されることも考えてみたらいかがでしょうか。
骨や関節の手術というのは、受けただけでよくなるものではありませんよね。手術後のリハビリが必要で、しかも痛みや負担を伴うものもたくさんあります。
高齢者のリハビリにつき合うのは、介護する私たちにとっては面倒この上ないことではあるのですが、ここで手を抜くと、後でもっと大変な状況になってしまいます。
あとは、家の近所を、たとえ10分でも歩くということを取り入れてほしいと思います。
ただし、心臓に疾患があるなどで歩くことを制限されていたり、歩き方に注意が必要な場合もありますので、医師の指導にしたがってください。
高齢者と一緒に歩くことが大事!楽しく散歩できる方法を考えよう!
自分自身で気をつけて、毎日の生活の中で筋力が衰えないようにしたり、バランス感覚を保ったりする努力をしている高齢者もいますよね。そういう人を見ると、本当に偉いなと思います。自分の体を自分でコントロールできる高齢者、これが理想の姿です。
でも残念ながら、だんだん気力も体力も衰えると、そういう意欲もなくなってくるのは仕方がないことだと思います。
「歩かなきゃダメだよ。散歩してね」と言うと、「うん、わかった」と答えますが、実際には行動しないことが多いと思います。皆さん、そんなものです。
まずは1週間に一度でも、あなたが一緒に歩くということをしてみてほしいと思います。
介護が必要な高齢者と一緒に歩くことは、たしかに簡単なことではありません。歩くペースがあまりにもゆっくりだと、こちらにとっては歩きにくいと感じることもあるでしょう。
また、歩いている途中でトラブルが起こる可能性もあります。どこかが痛くなったり、急に歩けないと言って立ち止まることもあるかもしれません。
こちらも一緒に外に出ることを楽しむくらいのつもりでないと、続きません。季節によって変わる外の景色を眺めるとか、帰りにコンビニに寄るとか。
本人が疲れすぎないように、水分補給などにも注意して、楽しく歩くことができたらいいなと思います。
介護する人がお仕事をされていたり遠くに住んでいたりして、一緒に歩くなんてとても無理という場合は、ケアマネジャーに相談されてみてください。
訪問リハビリの理学療法士に散歩に同行してもらったり、介護ヘルパーに買い物に付き添ってもらうことなどが可能です。
訪問リハビリで理学療法士に散歩をお願いすると、歩き方のチェックをしてくれたり、歩くために必要なもの(シルバーカーや歩行器、杖など)についてのアドバイスなどもしてくれます。
義母も訪問リハビリを利用していて、リハビリの最初に外に10分ほど散歩することがあります。
まとめ
高齢者がずっと歩けるようにと考えるなら、できるだけ歩く機会を増やすことだと思います。そのために、できる範囲で散歩や外出につき合うことや、介護保険を利用したサービスについて相談してみることを提案します。