前回はポータブルトイレのメリットについて書きましたが、デメリットもお伝えしなければなりません。
メリットについては、こちらに書いています。
義母がポータブルトイレを使うようになって2カ月になりますが、失敗もたくさんありますし、慣れていくのは大変です。
このページでは、ポータブルトイレのデメリット5つ挙げ、それぞれについての体験をまとめてみました。
認知症でもトイレを使いたい!でも難しくなったらポータブルトイレを使うしかない
義母がこんなに早くポータブルトイレを使うようになるとは、思っていませんでした。できることなら、ずっとトイレを使い続けてほしかった。
トイレには、レンタルの手すりがついています。義母はこれを使って、夜中も自分でトイレまで行き、排泄していました。
でも、少しずつ、それが困難になってきました。夜だけポータブルトイレにしようと思いましたが、認知症の義母にとっては夜も昼もないのです。
義母にポータブルトイレを使ってもらうことに対して、やむをえないとか当然とかいう気持ちでいるわけではありません。
納得できないながらも、受け入れてくれてありがとうという気持ちです。
もし私自身がポータブルトイレを使うことになったら、やはり抵抗があります。本当はトイレに行きたいという義母の気持ちを忘れないようにしなければいけないと思っています。
ポータブルトイレのデメリットを5つ挙げてみる
義母がポータブルトイレを使うようになってから気づいた、ポータブルトイレのデメリットを5つ、挙げてみます。
ポータブルトイレのデメリットその1
・部屋が狭くなる
義母の家は、20年くらい前に改装して、キッチンと座敷(義母の部屋)がひと続きのようになっています。
8畳の義母の部屋にベッドを置くと、けっこう部屋は狭くなります。そのベッドのわきにポータブルトイレを置いたら、ますます狭くなって、私は動きにくくなりました。
ベッドに取り付けてある手すりと、キッチンと義母の部屋の境目にある手すり、そしてポータブルトイレ。
両方の手すりとポータブルトイレが近いからこそ、義母はしっかり立って移動でき、排泄のときの着替えもスムーズにできるのです。
でも、「ポータブルトイレって邪魔~」と、つい思ってしまうんです。
排泄の介助をするとき、いろんなところに手をぶつけます。やはりトイレに比べると、作業がしにくいと感じます。
ポータブルトイレのデメリットその2
・バケツ(ポット)を洗わなければならない
当然ですが、ポータブルトイレのバケツには、汚物がたまります。それを捨てて、バケツをきれいにしなければなりません。
まずはトイレに汚物を流し、便がついていたらトイレットペーパーで拭き取り、その後、バケツをお風呂場に持って行き、シャワーで流します。
そしてバケツに少し水を張り、消臭液を入れて、終わりです。
水を替えるのは1日に2~3回。それ以上の時も。
バケツの洗い方はいろいろあると思いますが、私は本当に簡単な方法で洗っています。洗剤なんて、使いません。
バケツを洗うのは、確かに面倒といえば、面倒です。
洗ってきれいにしたばかりのときに排便があったら、「なんで今なの?」と思いながら、またバケツを洗います。
義母は時には新聞紙やティッシュペーパーをバケツに入れてしまい、取り除くことも。ティッシュペーパーはトイレに詰まるので、流さないようにしなければいけないのですが、正直、これを探し出すのは大変なんです。
できる範囲で、ということでよしとしています。
ポータブルトイレのデメリットその3
・便の臭いが部屋に充満することがある
ポータブルトイレに張った水に消臭剤を入れているので、尿の臭いはほとんど気にならないのですが、便はそうはいきません。
長い時間ではないので我慢できないことはないのですが、息子(23歳)はこれが耐えられないようです。
義兄は慣れたと言っています。最初はやはり、この臭いに抵抗があったと思います。
でも、消臭スプレーを使えば、なんとかごまかせます。
ただ、食事の前に排便があったりすると、しばらくは食欲がなくなりますね。といっても、私は食事のしたくをするだけで、そこで食事をするのは義母と義兄です(私は自宅に帰ってから食事をするので)。
キッチンがもっと離れたところにあったらよかったのですが・・・。
窓を開ける、消臭スプレーを使うなどして、対処するしかなさそうです。
ポータブルトイレのデメリットその4
・歩行の機会が減ってしまうので、筋力が衰える
ポータブルトイレを使う要介護者は、たいてい歩行が困難です。トイレに行くときは、たとえ短い距離でも、「歩く」という行為をしていたわけです。
しかし、ベッドの近くにポータブルトイレを置いたら、ほとんど歩くことなくベッドに移動できます。立って、座るという動作だけ。
これでは筋力が衰えて、ますます歩けなくなります。
家の中を行ったり来たりするリハビリをしたり、外を散歩するなどして、歩行が可能な状態を保つようにするのがよいと思いますが、介助が必要になるので、家族の負担が増えてしまいます。
トイレを使わないとなると、こんなことも考えなければならなくなるのです。
歩行機能の維持については、介護保険を使ったリハビリやデイケアを検討してみるといいかもしれません。
ポータブルトイレのデメリットその5
・要介護者にポータブルトイレに対する拒否がある
ポータブルトイレを使うしかない状況なのに、本人が嫌がっているために使うことができない場合があります。
部屋で排せつすることには、誰だって抵抗がありますよね。だから、時間をかけて、慣れていくしかないんです。
そばに誰かがいると落ち着いて排泄できないかもしれません。その場合は、介助する人は、しばらく本人から離れてあげるのがいいですね。
ほかの家族も同様です。
義母の場合は、たまたまカーテンがそこにあったので、排泄のときにカーテンを引いて、目隠しにしています。
認知症の人は新しいことを覚えるのが困難です。ずっと使い慣れたトイレに行くことができず、急に「ここに座ってね」と言われても、混乱するでしょう。
介助する人がいろいろ教えてあげたとしても、なかなか覚えられません。
こんな言葉をかけてあげるのはどうでしょうか。
「だいぶ上手に使えるようになったね」「ここに座るようになってから、転んでないね」「夜、トイレに行くよりもずっと楽でしょう?」
本人の気持ちを大切にしつつ、徐々にポータブルトイレに慣れていけるようにしたいですね。大変だと思いますけどね。
デメリットがあってもポータブルトイレを使わざるをえない!
トイレが使えるのなら、ずっとトイレを使ってほしいのです。でも、これ以上トイレを使っていたら、大きな怪我をするかもしれません。トイレでの失敗が増えて、家族はもうへとへとです。
本人はポータブルトイレを使いたくないと言います。でも、使ってもらわないと、こちらがゆっくり寝ることができないんです。もう体調を崩しそうなところにいます。
ポータブルトイレのデメリットを知ったうえで、それでもポータブルトイレが必要だと判断したら、使用を始める時ではないでしょうか。
まとめ
ポータブルトイレのデメリットを5つ挙げてみました。まだまだあるかもしれません。
デメリットを考えたうえで、ポータブルトイレの使用を見合わせたという人もいるでしょう。
義母にとっては、ポータブルトイレは、できたら使いたくないものです。トイレで出したいのです。
でも、私たち家族は義母にどうしてもポータブルトイレを使ってほしかったので、義母に説得したり、時には「トイレが故障した」と嘘をつき、義母をポータブルトイレに誘いました。
ポータブルトイレにデメリットはありますが、それを上回るメリットがあります。
介護する人が倒れないように、少しでも負担を減らすことができたらいいなと思います。