高齢者でもおしゃれな人は、素敵だと思います。行動範囲が狭くなり、動くのが困難になってきたからこそ、おしゃれを楽しむことで、生き生きと元気になれるのではないでしょうか。
でも、何を着たらよいのかわからない(何を着せてよいかわからない)、どこで洋服を買ったらいいのかわからないために、おしゃれをあきらめている高齢者と介護者も多いのです。
介護ではやらなければいけないことがたくさんあって、洋服のことを考えるなんて面倒かもしれません。でも、高齢者のおしゃれには、意味があるんです。
【高齢者がおしゃれすることで得られる効果とは?】 】
若いころからずっとおしゃれだった人は、高齢になってもおしゃれをするのが当たり前になっているかもしれません。その人らしいおしゃれを楽しんでいる高齢者を見ると、自分もあんな風に歳を重ねたいと思います。
現在93歳の伯母は、デイサービスに着ていく服を選ぶのが楽しくて、アクセサリーまで着けていきます。職員さんたちに褒められて、ますますおしゃれに磨きがかかっているという感じです。
高齢者がおしゃれをすることで脳に刺激が与えられ、気持ちに張りが出ることがあります可能であるならば、持っている洋服の組み合わせを考えたり、新しい洋服を購入したりして、おしゃれを楽しむことができたらいいですね。
【高齢になってからおしゃれに目覚めることもある】
一方、おしゃれに関心のない人もいて、何を着てもよいと考えています。また、高齢者の特徴として、何を着るかを考えるのが面倒になってきます。
私の夫の母はおしゃれには疎い人で、いつも同じタイプの洋服ばかり着ていていました。
本人いわく、若いころからおしゃれをしたことがないとのこと。幼いころに母を亡くし、20代のころには奉公に出て、離れて暮らす妹に仕送りをしていました。
結婚後は夫とともに自営業をいとなみ、休日もなく働いて、着るものはほとんど事務服だったそうです。おしゃれをする気持ちの余裕もお金の余裕もなかったんですね。
義母がおしゃれに目覚めたのは、義父が亡くなって、私と一緒に洋服を買うようになってからです。その時に義母は70代後半。かなり高齢になっていて、シルバーカーなしには歩けませんでしたが、気持ちは若く、まだ頭もはっきりしていました。
ゆくよかな体型の義母に合うサイズは13号以上。普通のお店にはこのサイズはないので、あるショッピングモールの、大きなサイズ専門のお店に行きました。こういうお店は値段が高いと思っていたら全くそんなことはなくて、手ごろな値段で買えました。そのお店に頻繁に行くようになり、義母の洋服はかなり増えました。
やっぱり楽しいんですよね、おしゃれって。義母はデイサービスで着ている洋服を褒められてうれしいし、私もそれを聞くとうれしいし。
明らかに、私よりも義母の方がおしゃれしていました(笑)。
義母の洋服を買うのは、私の方がむしろ楽しかったのだと思います。お金は義母自身の財布から出ていたので、こちらの負担はありませんでした。
義母が今よりずっと元気で、帰りに一緒に外食してくるという楽しみもありました。
【高齢者のおしゃれで気をつけること3つ】
介護している人の状況や考え方によって、高齢者の服装にどれだけサポートできるかが異なると思われます。一緒に買い物に行くのはちょっと・・・ということもあるでしょう。
そのような場合は、高齢者と相談して、介護者が買い物に行く、あるいは通販を利用するなど、負担にならない範囲でサポートできたらと思います。
最近は、介護用品のコーナーに洋服が置いてあったり、高齢者用の通販もあるので、上手に利用したいですね。
高齢者の洋服選びについて、注意することを挙げてみます。
①素材やデザインが体の負担にならないものにする
高齢になって肌が敏感になり、素材によっては体がかゆくなったりチクチクするものもあるかと思います。
また、見た目はおしゃれでも、動きにくかったりすると、高齢者には負担になります。なるべく楽な動きができるデザインの洋服を選びたいものです。
②体型に合わせて、サイズを調整する
また、腰が曲がってきたために、他の部分はぴったりしていても、お腹まわりがきつくなってくることもあります。大きめのサイズにして、上着だったら袖を、ズボンだったら裾を、後から短くする必要もあります。
洋服の丈つめやリフォームは、お店でやってくれることもありますし、リフォームのお店もありますので、問い合わせてみてください。
義母は、腰が曲がっていて、大きいサイズでも腰回りがきついことがあるので、さらに大きいサイズを選ぶと、袖や丈が長すぎるということに。そこで、袖を折ったり、簡単に縫ったりして、着てもらっています。
私は裁縫が得意ではないので、頼めるものなら人に頼みたいと思っています。多少お金がかかっても、ズボンなどはお店で丈を短くしてもらうようにしています。
③汚してもいいと、おおらかに考える
デイサービスや病院などにはおしゃれして出かけたい、でも、汚したくない。せっかく洋服を買っても、そんなことを気にしながら着るのは楽しくありません。
手や顔を洗う時には濡れてもしかたがない、食べこぼして多少汚れるのには目をつぶる、失禁で汚れてしまったら洗濯すればいいのだと考え、おおらかにとらえることも必要なことです。
どこにも出かけない、誰も来ない日は、同じ洋服ばかり着ていてもよいことにして、本人が落ち着く服装でよいと思います。
【まとめ】
高齢者がおしゃれすることで、脳に刺激が与えられ、日常生活に張りが出るという効果があります。介護する人のサポートによって、おしゃれを楽しむことが可能です。ただし、介護者の状況や考え方により、無理のない援助を行うようにしましょう。
介護用品の洋服オーナーや高齢者用の通販なども利用するとよいと思います。
高齢者のおしゃれで気をつけたいことは、以下の3つです。
①素材やデザインが体の負担にならないものにする
②体型に合わせて、サイズを調整する
③汚してもいいと、おおらかに考える
介護していると、自分のおしゃれさえ忘れてしまう時があるくらい、大変な時がありますよね。そんな時にあえて、高齢者のおしゃれを考えることは負担になるかもしれませんが、きっと楽しみも見つけられると思います。