高齢者に処方される薬が多いので、見直そう。
最近になって、このような見解が主流になってきました。
厚生労働省が平成30年5月に、医師や薬剤師向けに出した指針が、「高齢者に処方する薬が多すぎると思われるので、見直しが必要である」というものでした。
だからといって、すぐに医師の方から「薬を減らしましょう」と言ってくれるとは限りません。
私は最近、医師に相談して、義母の薬を減らしてもらうことができました。
被介護者の薬を減らしたいと思うなら、まず、医師にその意向をはっきり伝えることが大事です。
そのうえで、医師の説明を聞いて納得ができるのなら、現在の薬をそのまま飲んでいけばよいのです。どうしても減らせない薬もあると思いますので。
このページでは、高齢者の薬が多くなることを問題視した厚生労働省の指針をご紹介し、よくみられる高齢者の薬の副作用についてもお伝えします。
そして、義母の薬を1錠減らすことができた体験も書いてみます。
薬を減らすためにはどうしたらいいのか、これ以上減らせないときはどうしたらいいのかなどについても、考えてみたいと思います。
高齢者の薬についての厚生労働省の指針とは?
高齢になると病気が複数になることが多いため、薬がどんどん増えていきます。75歳以上の人の25パーセントが、7種類以上の薬を処方されているそうです。
しかし、高齢者は若い人に比べ、体内での薬の濃度が上がりやすかったり、成分が体外に排出されるまでに時間がかかったりして、副作用も多くなります。
そこで出されたのが厚生労働省の指針です。このようなものが出されたのは、今回が初めてだそうです。
その内容をざっとまとめると、次のようになります。
・高齢者が飲んでいる薬による治療が有効なものか、薬以外の方法はないのか検討する。
・1人が複数の医療機関を利用して、同じ種類の薬を複数飲んでいないかをチェックする。
・薬を減らしたり中止したりすることは慎重に行い、経過を観察する。
高齢者の薬の副作用に注意!減らせる薬は減らそう!
厚生労働省の指針には、薬の副作用と、おもな原因薬剤も示されています。
たとえば、ふらつきや転倒が、一部の降圧薬、睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、てんかん治療薬によって起こる場合があるそうです。
その他、記憶障害、食欲低下、便秘などが起こることもあるみたいです。
ある男性のケースをご紹介します。
認知症、糖尿病、高血圧を抱える76歳の男性が11種類の薬を飲んでいましたが、総合病院に6年間通院するうちに「年金を取られた」などの妄想がひどくなり、興奮を抑える薬の量が次第に増えていきました。
薬の量が増えても症状の改善はみられず、むしろイライラが増え、足元がふらつくことも多くなりました。
男性を訪問診療するようになった医師は、薬の種類を変えたり、何種類も出ていた糖尿病の薬を1種類にするなどして、11種類の薬を6種類に減らしたところ、次のような変化がみられました。
なんと、妄想や興奮が減り、血糖値や血圧が安定したのです。
参考:https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180425-OYTET50016/
医師と相談して義母の薬を減らしてもらった
義母の薬を減らしてもらうことに成功した、と書きましたが、少しおおげさに書きすぎました(笑)。11種類のうちの1種類を減らしてもらっただけです。
しかし、医師に働きかけることができたという点では、自分をほめています。
義母が1カ月前まで飲んでいた薬は、以下のとおりです。
ロスパスタチン錠(コレステロールを下げる)
タピゾールカプセル(胃酸の分泌を抑える)
カルベジロール錠(血管を広げる、心臓の負担を減らす)
バルサルタン錠(血圧を下げる)
バイアスピリン錠(血の流れをよくする)
ニフェジピンCR錠(血圧を下げる、心臓の血行をよくする)
ピルジカイニド塩酸塩カプセル(脈の乱れを整える)
酸化マグネシウム錠(胃酸を抑える、便通をよくする)
ベネット錠(骨がもろくなるのを防ぐ)
トリメプチンマレイン塩酸錠(胃腸の働きを整える)
先月の通院の時に、義母の主治医に言いました。「飲む薬が多くて大変なので、減らしてほしい」と。
そしたら医師は、「う~ん」と考えて、「この薬なら、やめてもいいかもしれない」と言ってくれたのが、これです。
トリメプチンマレイン塩酸錠
薬の説明書には、「胃腸の働きを整える薬」とあります。便秘にも下痢にもよい薬だということで、処方されていました。
義母は、便秘したあと、下痢になるというパターンを繰り返しています。便秘には酸化マグネシウム錠を処方されていて、これを1~2錠飲むことで、排便できています。
先ほどのトリメプチンマレインをやめても特に支障がないようなら、そのままなしにすることになりました。
義母は毎月血液検査をしているので、薬の副作用などは、医師が細かくチェックしてくれています。
トリメプチンマレインをやめたことで、義母の体に変化が現れるかどうかは、わかりません。
というわけで、まだお試し中です。
義母は心臓に疾患があり、脳梗塞も患ったことがあるので、それらに関する薬はどうしてもやめられません。
副作用が問題になっている薬は今のところ飲んでいないこと、現在は病状が落ち着いていることから、しばらくこのままの薬でいくことになりました。
介護にあたる私たち自身が、薬の説明を求めたり、多すぎる薬を減らしてもらうよう、医師に働きかけていくことが大切だと思います。
でも、薬を減らすことだけに躍起になるのではなく、医師と相談しながら、慎重に減らしていくのがよいのではないでしょうか。
薬を勝手にやめてしまった失敗談は、こちらに書いています。
まとめ
厚生労働省の指針が、医師や薬剤師に出されました。「高齢者に処方する薬が多すぎると思われるので、見直しが必要である」というものです。
これによって、医師は高齢者に出す薬を厳選し、副作用にも気を配るようにすることが求められるようになりました。
薬の副作用として挙げられるのは、ふらつきや転倒、記憶障害、食欲低下、便秘などです。その原因となる薬剤についても研究されています。
とはいえ、医師の方からこちらに「薬を減らしましょう」と提案してくれるとは限りません。
私たち家族にできるのは、薬を減らしたいという意向をはっきりと医師に伝えることです。
副作用が問題になっている薬は今のところ飲んでおらず、病状も落ち着いているので、しばらくこのままの薬でいくことになりました。
義母の薬は現在1日に10種類。もう何年も飲んでいる薬ばかりなので、簡単には減らせませんが、これからも薬のことで疑問があったら、医師に尋ねてみようと思います。