介護の現場では、便秘に悩まされている人が多いのですよね。
先日、義母の便が久々にコロコロになってしまいました。そのとき、私は何も考えずに、義母に摘便を施してしまったのです。
「すっきりした!」と言う義母を見て、うまく摘便ができたと喜んでいた私は、娘の言葉で固まりました。
「それって、自宅でやったらダメなんじゃない? 直腸を傷つけるかもしれないよ。」
娘は大学で看護の勉強をしています。昨年、摘便の実習があって、いろいろ学んだようです。
「摘便」は医療行為なので、医師や看護師以外の者は、通常、してはいけないことになっているのですね。そんなことを聞いたような気もしますが、私は全く気にしていませんでした。
実際、介護している家族が摘便を行っているケースはたくさんあると思います。だって、いちいち病院に連れていったり、看護師を呼んだりできる人の方が少ないですよね。
ここでは、摘便においてどんなことに注意すべきか、私の失敗例をもとに、考えてみたいと思います。
摘便は医療行為だから、安易に行うべきではない
摘便(てきべん)とは、本人に何らかの身体的理由があり、自分で排便行為をすることができない場合に、介護者が肛門から指を入れて、便を摘出する行為をいいます。
摘便は医療行為に当たるので、医療行為を行うことができる資格を持つ者しか行うことができません。
介護の専門家である介護士でも、この医療行為を行うことができないのです。
なぜ、医師や看護師以外の者が摘便してはいけないのかというと、肛門から指を入れるときに、直腸を傷つけてしまうリスクがあるからです。
厳しいですね。それを忠実に守っている人ばかりではないかと思いますが、一応、素人が摘便をすることは禁じられていることを、確認しました。
もし家族が摘便を行わなければならないとしたら・・・
そうはいっても、どうしても家族が摘便行為を行わなければならないときもあるでしょう。
原則的にはやってはいけないことだけれど、やることが避けられないとしたら・・・
医師か看護師に相談する必要があります。そして、摘便の正しいやり方を教えてもらうとよいでしょう。
摘便を行うときは、介護用の手袋をして、ワセリンやオイルなどの潤滑剤を使用することが大事です。
私がやった超NGな摘便行為とは・・・
私は、義母の下の世話をするようになってから5回ほど、義母の摘便を行ったことがあります。
今までは、ほとんどベッドに横になった状態での摘便でしたが、今回は、ポータブルトイレで立ったまま、行いました。
そのときの状況は・・・
義母のショートステイのお迎えが来るまで、あと10分ほど。トイレを済ませてから上着を来て待っていようと思い、義母をポータブルトイレに誘いました。
いつものように尿が出ました。すると、「便が出そう・・・」と義母。「ちょうどよかった。すっきりしてお泊りに行けるね」と私。
ところが、う~ん、う~んとふんばっているけれど、便がなかなか出てきません。はっきりした便意があるときは、わりとするっと出るので、おかしいなと思い、手袋をして、義母の肛門を触ってみたら・・・。
かたい便が肛門のところで留まっていました。
私はすぐに、「ちょっとごめんね。少し痛いかもしれないけど、この便を出すね」と言って、肛門に指を入れて、便をかき出しました。
ゴルフボールほどの便が1つ、出ました。まだ出そうなので、指を入れて、もう1つ、出しました。もう終わりかなと思ったら、まだ硬い便があるので、もう1つ、出しました。
ここまで、義母は立ったままです。
座ってもらったら、あと3つ、同じような形のコロコロ便が、ポトンポトンと落ちました。
すごい~。
感心している場合ではありません。もうすぐお迎えが来るのです。
義母のおしりを拭いて、衣服を整えたところで、ピンポーンとチャイムが鳴りました。
ふ~、セーフでした。
一応、ショートステイの職員の人に摘便したことを伝え(持参する連絡用紙に書き込む時間がありませんでした)、義母を送り出しました。
先ほどは夢中で気づかなかったのですが、部屋はものすごい臭いになっていました。
今回の摘便は、完全に私の認識不足による軽率な行動でした。
幸い、義母の直腸にダメージはなかったと思われますが、痛い思いをさせてしまいました。もうすぐショートステイの車が迎えに来るとという焦りがあったことも、軽率な行動を取った理由の1つです。
出かけるときの準備は早めに、余裕をもって行わなければいけないという教訓です。
まとめ
医師に相談して便秘の薬や浣腸を処方してもらったり、食事に気をつけたりしていると思いますが、それでも苦戦している家族はたくさんいるでしょう。
摘便は医療行為であるとわかっていても、家族がやらなければならない場合もありますよね。
やはり一度、医師の指導を受けておくとよいかもしれませんね。私も、義母の次回の内科受診のとき、医師に相談してみようと思います。
介護施設などでは、医療職の指導のもと、介護職が摘便を行うこともあるんですって。そうでしょうね。介護の現場では、便が出ない高齢者はたくさんいると思います。
実際に、摘便という行為は、難しいですよね。摘便をされる方だって、痛いし、精神的に苦痛だし、できたら避けたいに決まっています。
便のこと、家族は本当に悩みますよね。自分の便だってコントロールするのが難しいのにね。と、これは私のことでした(笑)。