私は義兄の介護なんて絶対無理だと思っていました。でも、実際に介護を始めてみたら、そんな気持ちが少しずつ変化してきました。
義兄が、「横断性脊髄炎」という病気を発症し、4カ月入院しました。
義兄は要介護3になり、いろいろな助けが必要になりました。そして介護の中心になるのは、私です。
正直、全然望んでいたことではなかったので、抵抗がありました。
でも、 すでにもう始まってしまったのです。
私がどう思おうと、義兄は退院してきてしまったし、私に頼るしかないのです。
今さらですが、義兄というのは、夫の兄です。義母と一緒に暮らしていました(義母が施設に入所したので、現在は一人暮らしです)。
夫が体調不良で介護にあまり関わることができないため、義母のことも義兄のことも、ほとんど私がやってきました。
ここでは、私が義兄の介護をしたくない気持ちをどのように整理したのかをお伝えしようと思います。
義兄の介護が無理だと思っていた理由とは
私が義兄の介護をしたくないと思っていた理由をまとめてみました。
・義兄のことが好きではなかった
・なぜ私がやらなければいけないの?という思いがあった
・まだ65歳なので、介護するには早すぎるだろうと思った
・義母の在宅介護を続けるつもりでいた
もう少し詳しく書いてみます。
義兄のことが好きではなかった
義兄は、ずっと実家で暮らしています。今まで一度も外に出たことがありません。義母ともずっと一緒でした。
義兄には、知的障害があります。どの程度というと、説明が難しいのですが、軽度です。日常生活は普通に送れています。といっても、文字の読み書きがほとんどできません(読むことは少しできます)。お金の管理も、今は夫と私がやっています。
義父が生きていたころは、私はほとんど義兄と話したことがありませんでした。
義母のところに通うようになり、当然、義兄とも近く接するようになったのですが、親しくなればなるほど、私は義兄の嫌な部分を見ることになりました。
でも、体の弱い義兄は、いろんな病気で入院や手術をすることになり、それまで義母がやっていたことを私がやらなければならなくなりました。
とにかく、義兄のことをするのは、気が重かったのです。
なぜ私がやらなければならないの?という思いがあった
そもそも、義理の兄であるわけです。義理の兄の世話って、誰がやるものなんでしょうか。
しかも知的障害があります。
義父も義母も歳を取ったら当然自分たちが障害のある息子の面倒を見ることはできないわけで、それならきちんとその弟である私の夫に、「俺たちが死んだら、兄のことを頼む」というような話があってもいいと思うのです。
全く、そんな話はされていません。
義母はかつては「ユワ子さん、○○(義兄の名)のこと、ありがとう」と言っていましたが、今はもう認知症で、義兄がどんな状況かわかりません。
そして、義兄の弟である、私の夫。
かつては仕事が忙しくて、兄のことを私に任せていました。そして今は、体調を崩し、兄のことを私に頼むしかなくなりました。
しかたがないですよ。私しかいないんだから。今はもう受け入れてますから。
まだ65歳なので、介護するには早すぎるだろうと思った
義兄は60歳で要支援1の認定を受け、介護保険を利用していました。
脳出血の後遺症が少し残り、リハビリ施設に通っていたのです。でも、ほとんど日常生活に支障はなかったし、義母の身の周りのことをやってくれていました。
いずれは義兄のお世話もしなければならない日が来るだろうけれど、まず義母を見送ったら、のんびりしてもらおう。
こんな風に考えていたわけですよ。
ところが、想像していたより10年も早く、その日が来てしまいました。
考えてみれば、一番気の毒なのは、義兄ですけどね。
・義母の在宅介護を続けるつもりだった
義兄が退院してくる前に、在宅で介護していた義母には施設に入ってもらいました。これはすごい決断でしたよ。
まさか、義母を施設に入れることになるなんて・・・。
これについては、後日詳しく書くつもりです。
義兄の介護、それほど嫌ではないかも・・・
義兄が退院してから、約1カ月が経ちました。
不思議なことなのですが、あれほど心配していた「義兄の介護に対する嫌悪感」が少しずつ薄らいでいます。
そして、義兄のことがそれほど嫌いではなくなってきています。
これはなぜなのか。
今、分析しようと思っても、すぐにはできません。これからわかってくるのだと思います。
義兄は毎日、歩行やリハビリに励んでおり、少しでもよい状態になるように頑張っています。その姿を見ると、なんとかしてあげたいというシンプルな感情がわきます。
義兄にはできないこと、苦手がことがたくさんありますが、それは私も同様です。私の方が偉いわけでも優れているわけでもありません。
幸い、認知症の症状はありません。だから、義母の時と違って、目が離せないとか本人に任せておいたら大変だということがないのです。
なんとかなりそうな気がする
私は、義父の介護から始まって、介護を15年以上体験しています。
介護は、肉体的にはもちろんだけれど、精神的にも負担が大きいですよね。
私よりももっと大変な思いをされている人がたくさんいると思います。
介護される人の状態も、介護の期間も、また介護する家族の状況も、みな違います。だから、他人の書いた介護の記録に救われることもあれば、逆に「うちよりもずっと楽なんじゃないの?」と思って落ち込むことも。
以前は、「この状況をどう受け入れるか」なんて真剣に考えていましたが、たとえ受け入れられなくても、ただ時間は過ぎていきます。
上手にできているなんて思いません。でも、向こうからやってくることに逆らわず、その場しのぎでもいいからやれることをやっていたら、自然になんとかなっていくような気がしています。
考えすぎたらだめです。時には頭をふわ~っとさせて、力を抜きます。
不思議と、いつも助けてくれる人が現れます。
こんな感じで、義兄の介護がスタートしました。