デイサービスに行くのを嫌がる親をどうしたらいいかという悩みをよく聞きます。
ケアマネージャーと相談し、実際にデイサービスをいくつか見学したうえで、ここだという所を選んだとしても、本人が行きたがらないケースはよくあります。
介護される高齢者がデイサービスに通うのは、もちろん本人のためでもありますが、家族にとっても、介護から一時解放されたり仕事に出かけたりするための時間を確保するという目的があります。
今日はデイサービスに行かない、と本人に言われたら、困ってしまいますよね。
ここでは、高齢者がデイサービスに行くのを拒否したらどうするかということについて考えてみたいと思います。
高齢者がデイサービスに行きたくない理由はさまざまである
高齢者がデイサービスを利用する目的はさまざま。本人が望んでデイサービスを利用しているという場合もありますが、大多数は家族の意向だと思います。
だから、行きたくないと言われても、しかたがないことなんですよね。
近所に住む高齢の男性は、そう言いました。確かにそうですよね。
では、どうしたらデイサービスで楽しく過ごせるようになるのでしょうか。
私はかつてデイサービスに勤務していたことがあるのですが、利用者さんのデイサービス拒否を何度も経験しました。送迎のバスが着いて、職員が玄関で待っているのに・・行きたくないといってなかなか出てこない人もいました。
高齢者がデイサービスに行くのを拒否する理由はいろいろです。
- そもそも人が集まる所に行くのが嫌だ
- みんなと一緒に何かをするのが苦手だ
- 人と話すのは好きだけれど、レクレーションや体操などはやりたくない
- 入浴したくない、あるいは男性の職員にお風呂に入れてもらうのが嫌だ(女性の場合)
- あの人がいるから嫌だ
- 職員が気に入らない
- トイレで失敗するのが心配だ
- カラオケで上手に歌えない
また、朝起きた時の気分で、行きたくなくなることもあります。今朝は寒いとか、眠いとか、気分がすぐれないとか・・・。
頭がはっきりしている人にはその人なりの、認知症の人にはその人なりの、身体に障害がある人にはその人なりの、行きたくない理由があります。
行きたくない理由を、本人は言ってくれないかもしれません。また本人自身もはっきり意識できていない場合もあるでしょう。
それはとても大変なことだと思います。時間も労力もかかります。
でも、デイサービスに行ってくれなければ、もっともっと困るのです。だから、今、面倒なことをやるんです。
高齢者がデイサービスを嫌がる理由は?義母は人間関係で悩んでいた
義母は、それまで楽しく通っていたデイサービスに、ある日行きたくないと言い出しました。聞いてみると、「よく一緒にいる人が気が強くて、きついことを言われる」とのこと。
人当たりがよくていつもにこにこしている義母は、嫌なことを言われてもあまり顔に出すことがなく、それだけにストレスがたまりやすいんです。
すぐにケアマネージャーに相談し、デイサービスの職員の人と話して、義母の状況を伝えました。職員は、義母が嫌な思いをしていたことに全く気づかず、そのことを詫びてくれました。そしてすぐに、問題の相手のテーブルから義母を別のテーブルに移してくれました。
その結果は・・・。
義母とその人とが話すことは減りましたが、義母の気持ちの負担はなくなりませんでした。義母と話し合い、このデイサービスをやめることにしました。
こんなことでやめるなんて、と思われるかもしれませんが、義母にとっては大きなことだったんです。
このことを教訓にして、次のデイサービスやリハビリ施設を慎重に選びました。職員の人に、前のデイサービスをやめた理由、義母の性格や人とのかかわり方などについて詳しく説明しました。
そして、担当者会議や送迎の時など、職員と顔を合わせる時に、義母の様子を聞いたり、こちらの要望を伝えたりしました。
そんな努力のかいがあったのか、義母が今度はしっかりしようと思ったのか、いいデイサービスに出会うことができ、5年間も同じ所に、楽しく通っています。
最初は週1日の利用だったのが、現在は週3日、通っています。
今日は行きたくないと言うことが、時々あります。私は義母がデイサービスの日にパートに出ているので、休まれると困るのです。でも、そのことは本人に言いません。
「お母さんが体操のお手本を見せてくれないと、みんな困るって言ってたよ」「今日は夏祭りの準備をするんだよね。行かなくて大丈夫?」などと言うと、その気になるところが、義母の素直なところです(笑)。
いつもそんなわけにはいかず、今日はなんだかだるいから行かない、という日は、休むこともあります。これからも行ってもらうためには、無理強いは禁物だと思います。
デイサービスを利用する目的は?一時的に休んでみるのもアリ?
高齢者がデイサービスを利用する目的をまとめてみると、だいたいこんな感じでしょうか。
- 家族が日中仕事で、高齢者を一人にしておけないから。
- 人と関わることがほとんどないので、他の人との交流を持ってほしいから。
- 日中一人でいると寝てばかりいる、ボーっとしてしまうなどが心配なので、それを防ぐため。
- 認知症が進むのが心配なので、少しでも刺激を与えるため。
- 自宅での排泄や入浴が大変なので、家族の代わりにやってもらいたいから。
- 家族がいつも介護に追われているので、時には休養を取るため。
もしどうしてもデイサービスに行ってほしいのなら、デイサービス選びに時間をかけ、職員に疑問に思っていることを聞いてみたり、こちらの要望を伝えてみたりして、本人に合った所かどうかを見極めるのがいいと思います。
それでも、実際に通ってみないと、その人に本当に合っているのかはわからないものですよね。
まずはケアマネージャーに相談することをおすすめします。
まとめ
高齢者がデイサービスに行くのを嫌がる時には、まずその理由をはっきりさせることです。本人の言うことを否定したりくだらないと判断したりせず、しっかり話を聞くことが大事だと考えます。
ケアマネージャーに相談して、対処のしかたを考えましょう。デイサービスの職員と話してみると、一歩先に進むこともあるかもしれません。
人間関係に悩んでいたら、席を替えてもらうなどの対処をお願いしてみてはいかがでしょうか。
考えられることをいろいろやってみて、やはり行くのを嫌がるようなら、そのデイサービスをやめることを考えてもいいと思います。
次のデイサービスを探すとしたら、ケアマネージャーに相談して、いくつか候補を挙げてもらい、実際に見学に行って、決めてください。
どうしても行きたくない日は休ませてあげるくらいの余裕が欲しいですね。
もし自分が将来デイサービスに通うことになったら、行きたくないだろうな、なんて考えたら、週に3日も通っている義母に感謝したい気持ちになってきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。