認知症が進むと、テレビを見なくなってきますよね。テレビの画面を目で追っているけれど、内容が理解できなかったり、ボーッとしていたりします。
義母は要介護3です。認知症が少しずつ進み、今は、日常生活のほとんどを援助してあげなければなりません。
かつては好きな時代劇ドラマを楽しみ、「笑点」を見て大声で笑っていた義母が、今はテレビを集中して見ることができません。時代劇のストーリーもわからないようです。
こんな義母を見ると、あのころに戻ってほしいと思います。
そして何より、こちらがなかなか相手をしてあげられないので、テレビを見ていてくれると助かるのです。
認知症の人にとって、テレビを見ることには、いろんなメリットがあると思います。テレビを上手に活用すれば、本人は満足するし、家族も楽になれます。
認知症の人がテレビを見ることのメリットとは
かつては私も、義母がテレビ漬けになることを心配した時期もありました。今よりもずっと義母の頭がしっかりしていた時です。
でも今は、テレビのありがたさをしみじみと感じています。
認知症の人にテレビを見てほしいと考えるのは、こんなメリットがあるからです。
① テレビを見て笑ったり、怒ったり、考えたりすると、頭を働かせることができる。
② テレビを見ている間は起きているので、寝すぎることがない。
③ 内容が理解できれば面白いと感じ、楽しいひとときを過ごすことができる。
④ 本人がテレビを見ている間に家族は買い物や家事、息抜きなどができる。
テレビが大好きな人でも、認知症になると見なくなる
義母は、もともと、あまり人付き合いが多い人ではなく、家でテレビを見たり本を読んだり、パズルをするのが好きでした。
テレビは、ニュース番組、ドラマ、歌番組、トーク番組など、いろんなものを見ていましたが、中でも特に好きだったのは、時代劇です。
調子がいい時は、1時間の時代劇をすべて見ます。なんとなくわかるところがあればいいのだと思います。「どんな話なの?」と聞くと、「よくわかんない」。
見始めて10分で眠くなる時もあります。ベッドで見ているので、すぐに寝ることができます。
義母のテレビの見方がどのように変わってきたのか、こちらに書いています。
⇒ 認知症の人はテレビをどう見ている? 楽しい時間にするコツ
認知症の人は自分の意思でテレビを見ることができない
最近、義母の環境に変化が起きました。一緒に住んでいる義兄が入院することになったのです。
私はいろんなことでバタバタしていて、義母と一緒にゆったり過ごすことができなくなってしまいました。
テレビをつけて、「これを見ていてね」ということが多くなりました。義母が面白いと思って見られる番組はほとんどないのに。
今は、自分でテレビをつけることも消すこともできない義母。私の意思でテレビをつけ、番組を選んでいます。
そんなの、つまらないに決まっていますよね。
認知症の人がテレビを楽しむ方法とは
そんな義母が、時々、テレビを見ながら笑っているのです。声を上げて笑う時もあります。
いったい何を見て笑っているのかというと、番組の一部に面白いところがあるようなのです。内容がよくわからなくても、なんとなく面白いという感じ。
かわいい動物が出てきたり、小さな子供が出てきたり、自分の知っている歌が流れてくると、それに反応します。
たまたま私も一緒に見ていると、「この犬、かわいいね」と言ったり、ともに歌を口ずさんだりします。
私が番組の内容を説明してあげると、興味を示して、画面をじっと見ることもあります。
先日は、「ナニコレ珍百景」(テレビ朝日)で、子豚とフクロウを飼っている男性が出てきたので、解説してあげたら、楽しそうに見ていました。
認知症の人には、テレビを見ながら、簡単な説明をしてあげるとよいと思います。ドラマだったら、人物の説明をするとか、ストーリーを教えてあげるとか。
「これ、どんな話なの?」とか「この人、どうして泣いてるの?」などとたずねるのもよいと思います。義母はほとんど答えられませんが(笑)。
テレビに助けられているのは、介護する家族かもしれない
認知症の人が在宅で過ごすとき、介護する人にはやらなければいけないことがたくさんあるので、ずっとそばにいてあげることは難しいと思います。
もちろん、一緒に楽しい時間を過ごすことができれば、それに越したことはありません。私も余裕がある時は、義母と脳トレをしたり歌を歌ったりしていました。
でも、自宅と義母の家を行ったり来たりするため、食事や排泄など、優先させなければいけないことだけで手いっぱいの時もあります。
テレビは、こちらが何もしなくても、番組を流してくれます。それに助けられていることが多いのだと、今回の義兄の入院で、改めて感じました。
まとめ
認知症が進むと、だんだんテレビを見なくなってくるのは、当然なことです。今までお気に入りの番組があったとしても、興味を示さなくなります。
テレビ漬けになってしまうのは問題だけれど、全くテレビを見ないというのも、家族は困ってしまいますよね。
認知症の人にとってのテレビの効能を考えると、短時間でも、本人がテレビを見る時間があればいいなと思います。
家族が働きかることで、テレビの内容に興味を示したり、理解が深まったりすることがあります。
もし、家族も一緒にテレビを楽しむことができるなら、それが一番ですけどね。
本人がテレビを見ていてくれる間に、家族が買い物に出かけたり、家事ができるということもあるかもしれません。あるいはちょっとした睡眠を取ったり、息抜きをしたり。
というわけで、認知症の人にもテレビを見て楽しんでもらいましょうという結論です。